2015.09.07

大・小ロットに対応 高効率で品質安定、KBA菊全7色UV機

「新たに導入したこの革新的な印刷機によって、仕事の流れや生産システム、さらには社員の意識も変革した。これまでの概念を覆す印刷機だ」と岩倉大介専務が高く評価をする印刷機、それがKBA製の菊全判7色コーター付UV印刷機「Rapida106」だ。岩倉印刷紙業㈱(本社・大阪府大阪市天王寺区東上町2の25、岩倉巧社長)では、KBA製ではないながらも菊全判7色コーター付印刷機2台が15年以上にわたって稼働している。ユニット構成はまったく同じだが、岩倉専務がここまで高い評価をする理由に迫る。

同社はパッケージ製作・厚紙印刷に特化した印刷会社。印刷機は菊全判7色コーター付が2台、菊全判6色コーター付が1台に加え、9色コーター付のフレキソ印刷機を取り揃える。パッケージが主品目なので比較的ロットが大きな仕事が多く、7~10万通しまではオフセット印刷、それ以上はフレキソ印刷と割り振っている。この中の菊全判6色コーター付機と入れ替えで、今年4月から「Rapida106」を導入した。
その導入の目的は、大ロットの生産性もアップし、かつ小ロットの生産効率向上を図ること。基本的には大ロットが多いものの、最近は5000通し以下の仕事も増加している。したがって、どちらの仕事にも柔軟に対応できる印刷機を求めた。
まず、大ロットの仕事の生産性という観点では、「Rapida106」の最高印刷速度が毎時1万8000回転と高速であることに加え、厚紙への対応に優れていることが挙げられる。「紙などの条件が悪くても1万5000回転以下にすることはない。フィーダーでの紙の出具合、引き針レスで円滑な給紙、ユニット間の用紙受け渡しなど、厚紙印刷における高品質化・高速化のノウハウがこの印刷機には詰め込まれている」(岩倉専務)

一方、小ロットの生産効率の向上を図る上で大きな効果を発揮するのが、「Rapida106」特有のダイレクトドライブ機構(各印刷ユニットに独立したモーターを搭載)だ。「1つの作業が終わってから次の作業をするのではなく、複数作業を同時にできる。たとえば、全自動刷版交換をしながら同時にブランケットや圧胴の洗浄もできるので、ジョブ替え時間が大幅に短くなる。さらに、同じ紙への単色の仕事が続く場合、1ユニット目での印刷が終わったら、すぐに2ユニット目の胴が降りてきて、ほぼ連続的に印刷できる。その間に1ユニット目の刷版交換や洗浄作業ができるので、本刷りの稼働率が極大化する。しかも、ジョブ替えによって薄紙から厚紙へと紙厚が変わっても、爪台の高さ調整が要らない使い勝手の良さもある」と岩倉専務はその効果を語る。印刷スピードの速さ、ジョブ替えの短縮化により、その実生産性は従来機の2倍を超え、これまで小ロットの仕事は協力会社に外注することが多かったが、外注比率が大幅に下がった。
大ロットの仕事では刷了までの間に濃度変化が起こる。一般的には、抜き取りチェックをしながら印刷機のツボキー調整で対応するが、同社が導入した「Rapida106」にはインラインで色調制御と欠陥検知の双方を行う検査装置を搭載し、そのような非効率なことは排した。この検査装置はカメラで紙面全体を読み取り、色調がOKシートから離れたら各印刷ユニットに自動補正をかける。したがって、インキキーを操作することなく、安定した色を再現できる。「大ロットでの色の安定性もあるが、刷り出し時の色合わせでも活用でき、すぐに色が合う。リピート物だとその効果はさらに上がる。この印刷機は見当も一発で合うので、7胴の版替えと色替えをしても本刷り開始まで25分程しかかからない」(同社営業統括部・松裏広志執行役員)
また、パッケージ印刷で多用されるニスコーターには、ニスの盛り量を決めるアニロックスローラーの交換をボタン1つでできる仕組みが備わっている。「コーターユニットに3本のアニロックスローラーを収納でき、ボタン1つで交換ができる。印刷してニスの盛りが足りなくても、簡単にアニロックスローラーを変えられる。これまでは印刷機を止めて30分程かけてアニロックスローラーを入れ替え、また色出しから始めていた。大幅に時間短縮ができ、それぞれの仕事に適切なものをセットできる」(岩倉専務)

また、パッケージ印刷分野では緻密な検品体制が要求される。この「Rapida106」には全印刷物をカメラで読み取る欠陥検知機能を搭載している。「目視だった検品作業を、機械の高精度な検査に任せられるようになった。オペレーターが自信を持って仕事ができる環境ができた」と松裏執行役員も評価する。
「Rapiad106」は大ロットにも小ロットにも対応するので、スケジュールを柔軟に組むことができる。たとえば、急ぎの仕事が入った場合、リピートの色合わせやジョブ替えがすぐにできて負担にならないので、一旦仕事を止めて急ぎの仕事を入れることも容易くできる。また、これまでならば一括大量印刷をしていたところを、小分け生産・納品ができるようになり、同社も発注者も余分な在庫を持たずに済むようになった。
また、校正のやり取りの流れにも変化が起きている。「Rapida106」のプロファイルを基に、協力製版会社、社内プルーファーとの間で精度の高いカラーマッチングを構築し、標準印刷をすれば色が合う仕組みを作った。「この印刷機の強みは印刷物の品質を安定化できる点。そこで、色については製版段階で決定し、印刷部門では標準印刷さえすればいいようにした。おかげで顧客の色に関するストレスも解消でき、校正立ち会いがあってもその時間が短くて済み、印刷機を実生産に充てられる時間が伸びた」(松裏執行役員)
「この印刷機は従来の改良版ではなく、革新的なものだ」と評する岩倉専務。「機能・能力が高過ぎて、まだフルに活かし切れていない。その引き出し方について工場全体で考えるようになり、仕事への意識が前向きになった。新しい印刷機が当社に独自性、新しい仕事の流れ、そして挑戦へのモチベーションをもたらしてくれた」(岩倉専務)

(株)日本印刷新聞社掲載記事

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