2015.05.04
Rapida106稼働開始 国内初毎時2万回転、インキ壷開度を自動制御
(株)ジョーメイ(本社・新潟県新潟市東区木工新町1193、加藤丈明社長)は4月21日、KBA製の菊全判4色印刷機「Rapida106」を新たに導入し、起動式を執り行った。同社が導入した「Rapida106」は、枚葉オフセット印刷機では国内初となる毎時2万回転という最高印刷速度を誇る超高速モデル。同社では比較的ロットの大きな仕事が多いことからハイパイル仕様にするとともに、インラインで全印刷物の濃度を読み取ってOKシートの色と誤差があれば各印刷ユニットのインキ壷開度を自動で制御するオプション機能「クオリトロニック」を搭載し、ロングランでも刷り始めから刷了まで安定した色再現ができる仕様としている。
会に先立ちあいさつに立った同社の加藤社長は、「平成24年に中期経営計画を作成し、売上を毎年1億円ずつ伸ばしていく計画を立てた。その計画は順調に進み、売上とともに仕事・印刷量も増えている。伸びている状況だからこそ、工場を増床して新しい印刷機を増設し、さらなる飛躍をするための生産体制の再構築を図った。これからは“Rapida106”を主力機とすることで生産力の大幅な向上が見込まれるので、これまで協力会社に外注していた仕事の取り込みに加え、同業者からの受注にも積極的に応えていく」と、「Rapida106」導入の背景と狙いを表した。
修祓式に引き続き、加藤社長が「Rapida106」のスタートボタンを押して初稼働を行い、最高印刷速度の毎時2万回転で印刷するところを披露した。
同社は、カタログなどの商業印刷をメーン品目とする印刷会社。今年の「新潟広告賞」でグランプリを受賞するなど、デザイン力の高さを強みとしており、今はユニバーサルデザインコミュニケーションにも力を注いでいる。印刷機のラインナップは、菊全判4色機が2台、菊半裁の2色機と単色機を1台ずつ保有しており、5台目の印刷機として「Rapida106」を導入した。
同社が「Rapida106」を選択したポイントは主に3つ。▽印刷速度が速く、かつカタログスペック通りのスピードで実稼働できる、▽フィーダーから安定して紙が出てくるので、本稼働時間が長い、▽印刷機がとても頑健で耐久性に優れている――という点に魅かれての導入となった。同社の倉元達男副工場長は「印刷速度もすごいが、フィーダーからの紙の出具合がとても良く、止まることがない。フィーダーから安定して紙が出続けるので、同じ稼働時間であっても実生産に充てられる時間がとても長い。また、版替えもフルオートで、色合わせもインラインの色管理システム“クオリトロニック”がサポートしてくれるので、実生産時間はさらにいっそう伸びることになる」と評価している。
「Rapida106」の増設により印刷機は1台増えたが、人員数はこれまで通りで運用をしていく構え。このような人員配置が可能なのも、「Rapida106」の機能が一役買っている。基本的に、「Rapida106」には専任の助手を付けず、操作は機長1人だけで行う。インラインの色管理システム「クオリトロニック」を活用することによって気を遣うポイントが1つ減るという点に加え、フィーダーからの給紙が安定していることからフィーダー側に人員を常駐させる必要がないからだ。さらに、フィーダーへの用紙のセットは、スキット梱包されたものをそのまま入れるだけなので、紙にクセを付ける必要もなく、しかも大ロットの仕事でも紙を積み替えることなく印刷することができる。
このような安定した給紙と高速印刷ができる背景には、「ドライブトロニックSIS(センサリック・インフィード・システム)」という技術がある。これは、用紙のインフィード時の引き針をなくした機構で、用紙がインフィード部の通過時にどの位置に用紙が来ているのかを1枚1枚検知し、それに応じてグリッパーを動かして用紙を正しい位置に調整して送っていくもの。従来は、まず前当てに当て、引き針で用紙位置を調整してから送っていたが、それと比べると用紙位置合わせ時間が半分で済み、かつ見当精度も高くなる。さらに、紙積みの状態に関わらず確実に印刷機に用紙を送ることができる。
同社の加藤社長は「Rapida106」に寄せる期待と想定活用法として、「検討当初はKBAという印刷機メーカーを知らなかったが、海外のユーザーでの使用状況を見学した時、導入してから月日が経っている印刷機でも最高速で稼働しているところを確認し、技術だけでなく耐久性にも秀でていると感じた。当社でも長期間にわたって活躍してもらおうと期待している。また、万一のトラブルがあった時、ドイツのKBA社から通信回線を通して印刷機の状態を診たり、即座に直したりできるリモートメンテナンスというシステムが、これから長く使っていく上での安心材料になる。当社はオフ輪を持っていないので、その分野の仕事は外注していたが、これからは毎時2万枚の高速性を活かし、これまでならばオフ輪会社に外注していたような仕事を内製化したり、さらにはオフ輪会社の外注先としてもやっていきたい」と語っている。
(株)日本印刷新聞社掲載記事
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