2015.02.02
日本市場に新風 安心のサービス体制、機械停止時間を最小化
2012年12月、独・KBA社(=Koenig & Bauer AG)の日本法人となるKBAジャパン(株)(本社・東京都中央区、ケネス・ハンセン社長)が立ち上げられた。最先端の各種自動化機能と印刷技術を搭載し、とくに大判印刷、パッケージ印刷、特殊印刷分野の枚葉オフセット印刷機において世界的に高く評価されるKBA製の印刷機の国内設置台数が増えてきた。日本の印刷市場に新風を吹き込んだ同社のハンセン社長に、今後の方向性およびユーザーが安心できるサービス体制作りについて話を聞いた。
――KBAジャパン設立から約2年が経ちました。これまでの実績および手応えはいかがですか?
ハンセン 日本の印刷市場は、先端技術が常に求められる場所です。そのため、KBAの優れた技術はとても歓迎されていると実感しています。すでにKBA製の印刷機を導入して頂いたユーザーからのリピートオーダーも頂けそうな段階です。日本の印刷市場において当社およびKBA製印刷機の認知・浸透が急速に進んでいることを受け、営業・アフターサービス両方の組織作りを進めています。
――日本市場は保守的・閉鎖的で新規参入におけるハードルが高い国です。市場を獲得していくためには既存製品を明らかに上回る何かが必要ですが、KBA製印刷機のほかにはない特徴とは何でしょうか?
ハンセン まず、KBAには印刷機メーカーで世界最長の200年にもわたる歴史と実績があります。また技術面の大きな特徴としましては、菊全機では最高で毎時2万枚にものぼる超高速な印刷速度とダイレクトドライブ機構をはじめとした高度な自動化・統合化による俊敏なジョブ替えが挙げられます。印刷速度、ジョブ替えの早さのどちらについても誰にも破られていない世界最速の記録を持ち、これはほかの印刷機が到達できないものだと自負しております。この記録は自己満足をするためのものではなく、今の日本の印刷会社のみなさまが望んでいる、無駄の少ない生産を具現化したものとなります。
――日本での印刷機の納入台数が増えるにつれ、アフターサービスの体制が問われてきます。現在、どのようなサービス体制を採っているのでしょうか?
ハンセン KBA製の印刷機はとても頑健な作りですが、それでも万一の事態はあります。そして、ユーザーに安心してもらえるアフターサービスの体制なくしては、日本の印刷市場に受け入れてもらえないことも理解しています。そこで、ユーザーからトラブルの連絡を受けてからの機械停止時間を最小化致します。
アフターサービスの体制については、おかげさまで印刷機の設置台数が増えてきましたので、これまでの日本人エンジニアに加えて、今年からはドイツの本社からエンジニアを呼び寄せて日本に常駐させることにしました。印刷機1台当たりのサービスエンジニアの人数比は他社にはない程の多さとなりますし、日本人エンジニアに経験や知識を伝えてもらって、アフターサービスの質をいっそう高いものとしていきます。スペアパーツについては、注文頻度が高い部品は当社の東京と大阪に在庫を持ち、またご要望によってはユーザーの工場に部品を置くケースもあります。
――トラブルの連絡を受けてからの機械停止時間を最小化するために、どのような工夫があるのですか?
ハンセン 設置する印刷機はすべて、24時間365日体制で通信回線を通してドイツのKBA本社・サービス部門からリモートメンテナンスができるようになっています。このリモートメンテナンスは、万一のトラブルが発生した場合、印刷機の状態を診て欲しいという信号(印刷機のボタンを押す、もしくはKBAジャパンへの電話連絡)を送ってもらうと、それを受けたKBA本社のサービス部門がその印刷機の状態をリモートで診るものです。そこでどのような問題があるのかを診断し、リモートで直せる場合は即座に対応します。また、修理が必要となる場合でも的確に修繕箇所が分かるので、必要なパーツがあればすぐに出荷するとともに、現地エンジニアに出動指示も出します。だからこそ迅速な初動対応が実現できるのです。
このリモートメンテナンスは、万一の事態が発生した時に極力ダウンタイムが短くなることを目的としたものです。連絡を受けてからエンジニアがユーザーの工場に赴き、印刷機の状態を目で見て、それから部品を取り寄せていたのでは費用も時間もかかってしまいます。それを最小化するために、リモートメンテナンスの運用を前提として印刷機が設計されているのです。しかも、トラブルの連絡を受けたケースの6-7割は、エンジニアがユーザーの工場に行かず、リモートサービスだけで解決しています。極端な話をすれば、印刷機に紙とインキさえ入っていれば、KBA本社からの操作で印刷することもできます。もちろん、ユーザーからの要望がなければ勝手に印刷機にアクセスすることはありませんが、それほどのレベルで各印刷機の状態が把握できるのです。
――今年の目標・方向性についてお聞かせ下さい。
ハンセン 技術革新に対して投資ができ、そのメリットを享受したい印刷会社のみなさまから多くの引き合いを頂き、とても良い年になりそうです。予想以上の業績なので、アフターサービス体制と営業とのバランスを取りながら進めてまいります。
(株)日本印刷新聞社掲載記事
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